一年に何百本も映画を見るような映画マニアではないけれど、自分の備忘録として観た映画の感想を書き記していこうと思います。
■基本データ
「超时空同居」
公開 2018年5月
監督 苏伦
脚本 苏伦
出演者 雷佳音、佟丽娅 ほか
■見た場所
上海の映画館
■感想
中国語の勉強を兼ねてちょくちょく中国映画を見ています。
この「超时空同居」もそのひとつ。1999年と2018年の同じ部屋が突然くっついてしまい、そこに住んでいる男女が一緒に住むハメになるという恋愛コメディ映画です。
時間テーマのSFといえばSFといえなくてもないですが、その辺は、明白にわざとぼかした設定&表現で制作していて、SF映画を見たい人の気持ちには応えてはくれない映画ではあります。その理由は後述します。
主人公は仕事がうまくいかずお金に困っている谷小焦(佟丽娅)と、投資での成功を夢見る陆鸣(雷佳音)のふたり。出会ったときにはどちらもお金がない様子がコメディタッチで描かれるのですが、次第に、陆鸣が2018年の上海で成功していることがわかってきます。しかし、現代の陆鸣は1999年の陆鸣と違い、冷たく暗い人物になってしまっていて…。
佟丽娅のオーバーな演技がかわいらしく、雷佳音が時人柄の変わってしまった人物を巧みに演じ分け、このふたりのいい役者さんが大健闘している映画だと思います。
気になったのは、ふたりが2018年の情報を元に1999年の当選している宝くじを買った場面。なんの説明も前触れもなく、買った瞬間くじが消えてしまいます。
中国の映画やドラマにはいろいろ規制があって、その一つに「不道徳なことは描かない(項目ごとに基準がある)」というものがあります。おそらくそれの規制に沿って宝くじが消えてしまったのかもしれません。それなら、そんな場面自体を脚本に描かなければいいと普通は思いますが、その辺判然としません。
他に「時間旅行テーマはNG」というのもあります。なんでも歴史を書き換えたりするのはダメなんだそうで、そのせいか「ウソ科学をこしらえてでも根拠を作る」というSFとして重要なことをすっとばして、タイムマシンやタイムスリップなどのプロセスを経ずに、無理矢理年代の違う部屋をくっつけて、1999年と2018年を行き来し強引に物語を進めていきます。制作側としては、部屋がくっついただけ、時間旅行じゃないってことなのでしょう。
この映画、こうした表現規制がちらつく映画ではあるのですが、役者さんのがんばりが観客を楽しませてくれる映画です。